2011年12月6日17:47:33
中間指針の位置づけ
本審査会は平成23年4月28日に原発事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第一次指針を決定・公表しました。その後、同年5月31日には第二次指針、同年6月20日には第二次指針追補を決定・公表しましたが、対象とされなかった損害項目やその範囲については、今後検討されることとされていました。 そこで、中間指針により、既に決定・公表した内容に追加項目を加え、賠償すべき損害と認められる損害類型が明示されたのです。 ただ、全ての案件が対象になった訳ではなく、今回の中間指針では決定が見送られたものもあります。本審査会は「中間指針で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る」との見解を示していますが、類型化されていない案件に対してどのような対応がなされるのか不透明な部分があり、万人が平等に賠償を受けられるようになるまでにはまだ時間がかかりそうです。
賠償すべきと認められる損害類型について
本審査会で決定・公表された損害類型は以下となります。それぞれ、対象となる損害の範囲及び基準が異なる為、損害賠償請求をする側としては、そもそも類型に当てはまるのか、どの類型に分類されるのかを確認しておく必要があります。(類型に当てはまらない場合には、類型外として損害賠償請求を行うという手続き方法もあります。)
①政府による避難等の指示等に係わる損害 →政府による避難指示以前に事業を開始されていた、または農業・漁業を営んでいた法人及び個人事業主が対象。その他、「避難等対象区域(*1)」の財物の所有者で本件事故によって当該財物の価値が喪失又は減少した方も対象となる。
②政府による航行危険区域等及び飛行禁止区域の設定に係る損害 →漁業、内航海運業、旅客船事業等を営んでおり、航行危険区域等及び飛行禁止区域の設定に伴い損害を被られた法人・個人事業主が対象。その他、航行危険区域等及び飛行禁止区域の設定に伴い減収等が生じた事業者様の被用者の方で当該事業者様の経営状態が悪化したことにより就労不能等となった方。
③政府等による農林水産物等の出荷制限指示等に係る損害 →「避難等対象区域」外の出荷制限指示対象地域の耕作地にて政府等による出荷制限指示の対象となる品目を生産する農業者である法人・個人事業主等が対象。
④その他の政府指示等に係る損害 →本件事故に関し行われた政府の指示により行為が制限され、損害を被られた法人・個人事業主の方が対象。
⑤いわゆる風評被害 →本件事故を起因とする風評被害を受けられた法人・個人事業主の方が対象となり、業種毎に要件が異なる。農業や観光業等に関しては福島県外の特定された地域も対象の範囲に含まれる。
⑥いわゆる間接被害 →本件事故と相当因果関係を有する間接被害を受けられた法人・個人事業主様。間接被害を受けられた事業者様の被用者の方で当該事業者様の経営状態が悪化したことにより就労不能等となった方。
⑦その他 →放射線被爆による損害、地方公共団体等の財産的損害等。 (*1)避難等対象区域 政府が原子力災害対策特別措置法(以下、「原災法」といいます。)に基づいて各地方公共団体の長に対して住民の安全を守るために避難指示した区域及び政府が住民単位で設定し、その住民に対して注意喚起、自主避難の支援・促進を行う地点。その他、南相馬市が独自の判断に基づき住民に対して一時避難を要請した区域も含まれます。
最後に
東日本大地震が起きた3月11日から9ヶ月の歳月が過ぎようとしています。その間、原子力損害賠償支援機構法が制定され、本審査会による中間指針を受けて原発事故による被害を受けられた方への金銭的な救済措置を行う段取りが進められてきました。制度を運用する側の人間が、被害に遭われた方の立場に立って真摯な気持ち、そして積極的な気持ちで取り組んでくれるようにと願うばかりです。実際に手続きの代行を行う行政書士の立場からも、現状をお伝えしていきたいと思っています。
|この記事のURL│
2011年8月3日17:46:00
取締役の任期の決定について
旧会社法上、取締役の任期は2年と決められていましたが、新会社法の施行により、株式譲渡制限会社については定款の定めにより、取締役の任期は10年まで伸長することが可能となりました。(株式譲渡制限会社とは、株式を他の株主に譲渡する場合に、株主総会もしくは取締役会による承認が必要となる会社をいいます。株式譲渡制限会社であることは登記上、明記されます。)旧会社法時代に設立された会社で、現在、取締役の任期が2年となっている会社は、定款変更を行うことで、10年まで伸長することが可能です。また、任期2年以内と定めることも可能です。例えば、任期が2年の場合、2年毎に取締役の改選が行われ、重任(就任)登記を行う必要が有り、印紙代が多くかかってしまうというデメリットがあります。また、取締役と株主が一体でない法人の場合に取締役の任期を10年としてしまうと、株主側が取締役に任期途中で退任してもらいたいと考えても、手続き上、難航する場合があります。これらのメリット・デメリットを考え、取締役の任期は慎重に決める必要があります。
いつまでが任期?
定款上、「取締役の任期は,選任後2年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時までとする。」と書かれていることがありますが、具体的に一体いつ、取締役の任期は終了するのでしょうか?下記例をご参照ください。
(例)ABC株式会社の設立は平成21年5月。取締役の任期は2年。会社の決算月は4月。 →ABC株式会社が定時株主総会を決算終了の3ヵ月後に行ったと仮定すると、平成23年7月末に取締役の任期は終了となります。任期2年と言っても、実際には2年と3ヵ月間、取締役としての業務を行うことになります。
取締役に就任してから丸2年で任期が終了すると考えてしまう方もいらっしゃるかと思いますので、この点には十分注意しましょう。
|この記事のURL│
2011年7月5日15:40:50
退去時に賃貸人、賃借人のどちらが修繕負担するかという問題が発生する場合がありますが、そのようなトラブルに備え、契約時に修繕分担について両者が明確に合意した内容を添付するための様式を定めたという点が今回のガイドラインの特徴です。今月7月15日まで意見公募を行い、8月をメドに取りまとめる予定となっています。詳しい内容については、ガイドラインが固まり次第、こちらのブログでお伝えしたいと思っています。
私自身も、最近、マンション退去時の修繕負担の問題に直面しました。賃貸人の思うままに敷金を使われてしまうというのはこちらとしては納得が出来ません。そのような争いごとが減り、賃貸人、賃借人ともに、気持ちよく契約終了の時を迎えられるような制度が早く確立されるよう願います。
|この記事のURL│
2011年6月2日20:36:23
5月1日より、都独自の制度が設けられました。東京都において、指定通所介護事業所等で1ヶ月の間に5日以上、宿泊サービスを提供している場合に、東京都知事に対して事業の届出を行い、その情報を公表することが義務付けられました。具体的な内容については、以下、ご参照ください。
目的
今回の新たな制度は、宿泊サービスを利用する方の尊厳の保持及び安全確保を図ることをその目的としています。近年、指定通所介護事業所等の利用者を対象に、宿泊サービスを提供する事業所が増加しましたが、従来では宿泊サービスの基準や届出の制度が無かった為、行政側がその実態を把握し、指導を行うことが困難な状況にありました。この状況を改善し、広く情報を開示することで、先に記した目的を達成しようということが今回新たな制度を設けた趣旨となっています。
指定通所介護事業所とは? そもそも、指定通所介護事業所とは、どのような事業所のことを指すのでしょうか?通所介護事業所とは、要介護状態と認められた方が、可能な限りその居宅において自立した日常生活を営むことができるように必要な日常生活上の世話と機能訓練を行う介護施設のことを言います。通称「デイサービス」と呼ばれ、入浴や体操、レクリエーションなどの各種サービスを提供しています。
宿泊サービスとは?
宿泊サービスとは、指定通所介護事業所等において、その設備の一部を使用し、当該事務所の利用者に対して必要な介護や宿泊を伴うサービスを提供することをいいます。宿泊サービス事業者は、利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を継続できるよう、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話に係わるサービス提供を行います。
都独自基準の概要
都独自基準に当てはまる事業所は、東京都知事に対して必要事項を記入した届出(宿泊サービス事業開始届)を提出します。その際、宿泊サービス事業所の情報についても提出しますが、これについては人員配置関係や設備関係、運営基準関係について細かく記載したものを提出しなければなりません。その後、各事業所の情報が東京都のホームページで公表されます。これにより、利用者の安全が確保され、都民の選択肢が広がりサービス向上につながるといった仕組みとなっています。
実施時期について
今回の制度の施行は平成23年5月1日、情報の公表開始日は同年7月1日となっています。
まとめ 今回の都独自基準の制定は、当たり前といえば当たり前のものだと思います。今まで届出をせずに個々の事業所のモラルに任せて、宿泊サービスの実施を行政側が黙認していたという状況自体が不自然であったと言わざるを得ません。ただし、どの基準をとってもそうですが、届出を行ったからそれで良いというわけではありません。運営する側にプロとしての意識がきちんとあるのか、実際に適正な措置を行っているのか等、核心の部分について、行政側がしっかりとアフターフォローを行う体制作りが成されるよう、今後、期待したいと思います。
|この記事のURL│
2011年3月31日18:33:00
貸主・借主の負担区分について
借家契約を終了し、実際に借主が退去する際に負担しなければいけない範囲とは?以下の例をご確認ください。
<貸主・借主の負担区分 例>
例1.畳の裏返し、表替え・・・貸主負担。
例2.畳の変色・・・貸主負担。
例3.フローリングのワックスがけ・・・貸主負担。
例4.フローリングの色落ち(借主の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの)・・・借主負担。
例5.家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡・・・貸主負担。
例6.引越し作業で生じたひっかきキズ・・・借主負担。
例7.エアコン設置による壁のビス穴、跡・・・貸主負担。
例8.地震で破損したガラス・・・貸主負担。
*一般的例示となります。損耗等の程度によっては異なる場合がございます。
上記例に従って借主負担とされる場合であっても、以下の諸点が考慮されます。
①費用負担の範囲 →前回記述しましたように、原状回復は「借主の責任によって生じた損耗・キズ等の破損部分をもとの状態に戻すこと」であるから、費用の負担についても、破損部分の補修工事に必要な施行の最小単位に限定されます。
②経過年数を考慮する →例えば、クロスの一部を借主の不注意で破いてしまった場合、破損した部分のクロスの張替え費用は借主の負担となります。ですが、破損部分についてもやはり通常損耗・経年変化しており、その分の経費は貸主の負担となりますので、借主は補修費用からその分を差し引いた額を負担すればよいことになります。
原状回復に関する特約について
借家契約に特約を設けることについては、民法・借地借家法等の法令の強行規定に抵触しないものであるかぎり、契約自由の原則から認められます。その意味で、前述したガイドラインとは異なる内容の特約もそのことをもって直ちに無効となるものではありません。 但し、判例等によると、借家契約において、ガイドラインに示されたような一般的な原状回復義務を超える特別の負担を特約として借主に課している場合、そのような特約が有効と認められるためには、次の3要件が必要であるとされています。
【賃借人に特別の負担を課す特約が有効と認められるための3要件】
1.特約をつける必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
2.賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
3.賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
実際に特約の有効性について争われたケース(借主から貸主に対して行われる敷金返還請求訴訟)があります。最高裁は、「賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」とし、通常損耗補修特約の合意が成立しているといえないと判示しました。(最判平17・12・16) この他、平成16年3月16日に京都地方裁判所の判示においても、消費者を一方的に害する条項であるとして特約自体無効とされました。 このように、一般的な原状回復義務を超えて通常損耗の補修に至るまでの負担を借主に課す特約は、少なくとも敷金返還請求訴訟に持ち込まれた場合には効力を否定される結果となることが多いと予想されます。
原状回復を巡ってトラブルとならないためのポイント
物件の確認の徹底 →入居時及び退去時にチェックリスト(物件状況確認書)を作成し、損耗状況や原状回復の内容について、貸主・借主双方が立会いの上で確認することが必要です。物件の間取図に損耗箇所を記入したり、写真(日付入り)を撮影して添付する等の手法を併用することで、当事者間のギャップを少なくすることができ、また、万が一トラブルとなった場合の証明資料としても役立てることができます。
賃貸借契約時における契約条件の開示等 →一般的に、賃貸借契約書は貸主側で作成することが多いことから、トラブルを予防する観点からは、貸主は借主に対して、明渡しの際の原状回復の内容等を契約前に開示し、借主の十分な認識を得たうえで、双方の合意により契約事項として取り決める必要があります。
原状回復を巡って実際にトラブルになってしまった場合について
実際に敷金の返還について貸主・借主の間でトラブルが起こってしまった場合に当事者が取りうる方法としてはどのようなものがあるのか?以下、ご参照ください。
内容証明郵便の作成 →相手方へ心理的圧迫を与え、問題を解決する方向へ導く為に、内容証明郵便を作成するという方法があります。こちらの手続きに関しては当事務所で行わせて頂きますので、いつでもご連絡ください。
合意書の作成 →問題が長期化せぬよう、貸主、借主の間で費用負担に関する合意書を作成し、問題解決を図ります。当事務所では具体的な内容をお聞きし、物件状況の調査を行い、クリーニングの復旧費用のお見積り書等の資料をもとに、合意書を作成いたします。ただ、それでも問題が解決せず、紛争にいたってしまう場合には、当事務所の顧問弁護士を紹介させて頂き、紛争解決にあたらせて頂きます。
司法手続き →当事者間での任意の話し合いが奏功しない場合には、最終的な手段として司法手続の利用も考えられます。民事調停手続、少額訴訟手続などがあります。民事調停手続とは裁判所において裁判官や調停委員が当事者の間に入り、双方の言い分を聞いた上で譲歩案等を示し、話し合いによる解決を図るものです。調停が成立した場合に作成される調停調書は裁判上の和解と同一の効力を有します。よって、相手方が調停調書の内容を履行しない場合には、強制執行を申立てることができます。一方、少額訴訟手続は、民事訴訟のうち、訴訟の目的の価格が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、原則として1回の審理で判決を言い渡す制度です。
最後に
敷金返還を巡る問題については、貸主、借主双方の言い分が対立しやすく、また、事例ごとに費用負担割合が異なることから、問題解決が難しいことが多いようです。司法手続きを行う際には、ある程度の時間や労力を使うことになる為、紛争が起こる前に問題が解決するよう、当事務所では各種サポートを行っております。どうぞお気軽にご相談ください。
|この記事のURL│
2011年3月6日13:49:00
敷金とは何か? 賃貸借契約、特に借家契約においてトラブルとなりやすいのが、敷金の精算にまつわる問題です。敷金とは、賃貸借契約ことに借家契約を締結するに当たり、借主が借賃その他の債務を担保するために賃貸人に交付する金銭をいいます。部屋を借りる時に、「敷金○ヶ月分支払ってください。」というように不動産屋から提示された方もいらっしゃると思いますが、その時に支払うお金のことを指します。
敷金の担保する債務の範囲 敷金の担保する債務の範囲、つまり、どの程度・範囲まで、敷金によってカバーされるのか?(敷金によって担保されているのか?)ということですが、これは、建物が返還されるまでの間に生じた滞納賃料や賃貸借終了後の不法占拠による賃料相当額はもちろん、借主の故意・過失等に起因する建物の損耗・毀損に対する復旧費用も敷金によって担保される、と解されています。
敷金の返還時期はいつ? 賃貸借契約が終了した後、いつ、敷金が返還されるのでしょうか?これは、賃貸借終了時ではなく、敷金によって担保される額が確定する、建物返還(明渡)時です。つまり、借主は建物を明け渡す時まで、敷金の返還請求をすることは出来ません。賃貸借終了後、明渡しまでの間に借主の故意によって生じた毀損部分について貸主が負担しなければならないというのでは、貸主側にとってあまりにも負担が大きい為です。 *判例もまた、建物明渡義務と敷金返還債務は同時履行の関係に立たない(建物明渡義務を先に履行すべきである)としています。(参考:最判昭49・9・2)
貸主・借主の復旧費用の負担について 借主は賃貸借契約終了時に借用物を返還する義務を負っています。(民法616条、597条1項)そして、借主は原状回復義務(注1)を負っているとされますが、国交省ガイドライン(原状回復をめぐるトラブルとガイドライン、平成16年2月改訂)では原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。つまり、「原状回復」とは、借りていた建物を契約締結時と全く同じ状態に回復するという意味ではなく、借主の責任によって生じた損耗やキズ等を復旧することであることが明確にされています。例えば、畳やクロスの変色、設備機器の通常使用による故障等、自然的な劣化・損傷(経年変化)や、電気製品による電気やけ、家具の設置跡等、借主の通常の使用により生ずる損耗(通常損耗)については貸主負担と解されています。
|この記事のURL│
2011年2月6日22:20:00
今回のテーマは「電子定款認証」についてです。前回は、会社の定款の中身や作成方法についてご説明しましたが、今回はその定款をどのように認証してもらうのか、という実務上の手続きについて分かりやすくご説明いたします。
○定款認証って何?
会社を設立する際に必ず作成しなければならないのが定款ですが、この定款はただ作成して会社に置いておけば良いというものではなく、公証人による「認証」という手続きが必要となります。(但し、合同会社の場合は、公証人による認証の手続きは必要とされていません。)つまり、この定款は○○会社の定款として認めましたという、公証人によるお墨付きをもらう手続きです。この手続きを経ないと、登記申請を行うことができず、会社を設立することは出来ません。定款認証を受けるための申請方法は二通りあります。一つは紙媒体での申請、もう一つは電子定款申請と呼ばれるインターネットを使った方法(オンライン申請)です。前者は昔から行われてきた方法で、後者はここ数年で主流となっている方法です。どちらも申請後、公証人に認証を行ってもらえることに変わりはありませんが、オンライン申請の方が、収入印紙代の40,000円がかからない為、経済的です。○電子定款申請について
上述しました二通りの定款申請の方法の中で、今回は電子定款による申請方法についてご説
明いたします。
STEP.1 公証人と定款内容について事前に打ち合わせを行う。 →打ち合わせは、FAXや電話を使って行います。わざわざ公証役場まで行く必要はありません。尚、公証役場は、地区ごとにありますが、同じ都道府県内であればどこの公証役場でも、定款認証をお願いすることが出来ます。
STEP.2 電子署名を行う。 →公証人に定款内容を確認して頂いた後、定款をPDF化し、電子署名を行います。この、電子署名を行うには専用のソフトが必要となります。行政書士が電子署名を行う場合、「行政書士○○○○」という署名が定款になされます。
STEP.3 電子定款オンライン申請を行う。 →法務省オンライン申請ソフトを使用して、電子署名した定款の申請を公証人宛てに行います。その後、公証人が認証作業を行い、手続きが完了します。
STEP.4 公証役場で定款をもらう
→オンライン申請を行ったとしても、最後に一度、公証役場へ出向かなければなりません。その際に手数料として約52,000円がかかります。オンライン申請なのに、どうして公証役場に行かなければならないのか・・・という疑問も浮かびますが、それ位、慎重に事を運ばなければならない手続きなのだということだと思います。
○さいごに
今回は、電子定款認証の実務上の手続きについてご説明致しました。もし、ご自身が会社を設立したいと思われて専門家にお願いした場合、またはオンライン申請の環境をご自身で整えて手続きを行う場合には必要となってくる作業ですので、電子定款認証とは何なのか?という基本的な部分について知識として留めておいて頂ければ幸いです。定款作成から認証手続きまで、分からない点等がございましたら、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。
|この記事のURL│
2010年12月30日16:29:00
会社の基本法である「定款」について
定款は、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項と呼ばれるものに分かれて構成されています。以下、詳しく見てみましょう!
絶対的記載事項とは? 絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない最も重要な事項のことをいいます。この事項の中で一つでも記載を欠いていますと定款そのものが無効となってしまいますので、必ず記載するよう十分注意しましょう。
<絶対的記載事項>
|
①商号 ②目的 ③会社が発行する株式総数(会社が発行できる株式の上限) ④設立に際して出資される財産の価格またはその最低額(資本金) ⑤本店の所在地 ⑥発起人の氏名および住所 |
相対的記載事項とは? 相対的記載事項は、定款に必ずしも記載する必要はありません。ですが、記載しないとその内容が法律的に効力を生じないので、会社に該当する事項がある場合には必ず記載しましょう。
<相対的記載事項>
|
①発起人が受けるべき特別の利益 ②現物出資 ③財産の引き受け ④会社が負担すべき設立費用 ⑤発起人の報酬 ⑥株主総会・取締役会の招集場所、決議方法 ⑦取締役の任期の延長または短縮 ⑧取締役の選任についてお累積投票の排除 ⑨監査役の任期の延長 ⑩株式の譲渡制限 ⑪株券不所持の申し出の排除など ⑫議決権の代理行使の代理人の資格の制限 ⑬株主名簿の閉鎖と基準日の設定 ⑭利益配当の除訴期間 ⑮無記名株式の発行 ⑯株主総会、取締役会以外の機関の設置 ⑰取締役会の書面決議 |
任意的記載事項とは? 任意的記載事項は、定款に記載するかしないかについて、会社が自由に決めることができる事項です。記載しても法的効力は生じません。ですが、記載しておくことで会社の運営がスムーズになるので、一般的には記載しておくケースが多いものです。
<任意的記載事項 主な例>
|
①事業年度(決算期)に関する規定 ②定時株主総会の開催の時期 ③株主総会の議長 ④取締役・監査役の員数 ⑤取締役会の組織についての規定 ⑥取締役から社長、専務、常務、常務取締役を選出する方法とその権限 |
定款作成の各種ポイント
定款に記載しなければならない事項や、自由に定めることができる事項については理解して頂けたと思います。定款を作成する際の具体的なポイントについては、以下、ご参照ください。
会社の目的について
→目的は主な順番から記載しましょう。目的を書く際のポイントについては「会社の目的について」をご参照ください。
本店の所在地について
発行可能株式総数(会社が発行できる株式の上限)について
→原則は、設立時に発行する株式総数の4倍以内です。つまり、設立時に、100株発行した場合は、発行可能株式総数は400株を超えて規定することは出来ません。ですが、株式譲渡制限会社(注1)の場合にはこの規制はありませんので、発行可能株式総数を自由に決めることができます。
設立に際して出資される財産の最低額について
→平成18年5月施行の新会社法により、資本金1円から株式会社を設立することが可能になりました。ですが、実務的に資本金1円で会社を運営してゆくのは難しいと思われます。初めに資本金を1円とすると、必然的に1株あたりの金額が1円ということになり、1株の価額変更手続きを行う必要が生じる、増資する度に登記申請をしなければならない等、不都合が生じる場合があります。増資を行う場合、1回あたり、登記申請する際に最低3万円分の印紙代が必要にもなります。これらの事情を踏まえた上で、設立時の資本金額を決めることをお勧めいたします。
取締役の任期について
(注1)株式譲渡制限会社・・・株式の譲渡をする場合は会社の承認を必要とする旨の規定がある会社。別名、非公開会社とも呼ばれ、同族会社や比較的規模の小さい会社で、株式譲渡制限をつける場合が多い。取締役の任期が10年まで伸長できる、発行可能株式総数の制限が無い等、株式譲渡制限会社は会社法での規制が緩和されている。
以上、会社の定款に記載する事項、定款作成のポイントについてご説明させて頂きましたが、その他、現物出資で会社を設立する場合や監査役、会計参与を設置する場合など、定款を作成する際の注意点は会社毎に異なります。また、旧法時代に作成した定款を新法に沿うように変更したい等、TFS行政書士法人では、定款作成に関する各種ご相談及び電子定款申請サービスも行っております。お気軽にご相談ください。
2010年11月22日16:10:00
今回のテーマは「遺言書」についてです。聞いたことはあるけれど、実際どのように書くものなの?という質問をよく受けます。ただ、自分で書いてタンスの奥にしまって置けばいいのか・・・はたまた、公証役場まで行って証明してもらわなければならないのか。普段考えたことがないのでピンと来ない!という方も、ちょっと気になってはいるが調べるのが面倒だという方も、気軽に読んで頂ければと思います。
○遺言書は3種類ある?
遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類の方式があり、それぞれ、方式や要件が異なります。(他に、臨終遺言と隔絶遺言がありますが、これは危急時なものなので上記3種類が一般的な遺言となります。)
どの遺言を選択し、作成するかは個人の自由に委ねられていますが、それぞれにメリット、デメリットがありますので、それを見極めてから作成する必要があります。これから詳しく見てまいりましょう。
○自筆証書遺言
3種類の中で最も簡単な遺言で、本人が自筆し、印鑑を押せばよいものです。ただし、以下の点に注意して作成しましょう。
Point1 遺言者が遺言書の全文を自書すること
→代筆やワープロで書いた遺言書は無効となります。また、日付部分だけゴム
印を使った場合も同様に無効となりますので注意しましょう。
Point2 遺言者が日付を自書すること
→通常は年月日で表されます。ですが、日付は遺言書成立の日が確定出来れば良いため、「私の53回目の誕生日」という記載でも認められます。○年○月吉日という記入は無効です。また、判例は年月だけを記載し、日のない遺言書を無効としています。
Point3 遺言者が氏名を自書すること
→氏名の自書は、遺言者の同一性と遺言が遺言者の意思によるものであることを明確にするために要求されています。その為、氏名は戸籍上の氏名でなくても、遺言者が日常用いているペンネームや芸名、通称名などを用いても構いません。
Point4 遺言者が押印すること
→三文判、指紋でも構いませんが、後で紛争の素を作らない為にもなるべく実印を押しましょう。
気軽に作成出来る点、遺言内容を誰にも知られずに済む点、費用がかからない点が自筆証書遺言の長所として挙げられますが、一方では、方式に不備があると無効になる恐れがある、紛失や隠匿の恐れがある等、万が一を考えると少し不安な要素もあります。
○公正証書遺言
公証役場でした本人の口述内容を公証人が公正証書にして作成したものを公正証書遺言といいます。公正証書を作成する際、証人2人以上の立会いが必要となります。また、遺言者が公証役場へ出向くのが一般的ですが、病気などで公証役場へ出向くことが出来ない場合は公証人に出張費を払って自宅や病室に来てもらうことが可能です。手数料は相続財産がどの程度であるか、また、財産を受ける人が何人いるか等の条件で変わってきます。(例:1億円の財産を一人が単独相続する場合、57,000円の手数料がかかります。)
公正証書遺言は公証人が作成するため、証拠力が高く、原本を公証人が保管する為、偽造・紛失の恐れが無い点で、自筆証書遺言に比べて心理的に安心感が得られます。しかし、公証人が作成するので手続きが煩雑である、費用や手数料がかかる等のデメリットがあります。
○秘密証書遺言
遺言内容を死ぬまで秘密にしたい時に使う方式です。遺言者自身が遺言書に署名し、印を押し、同じ印鑑で封印した後、公証役場で手続きを行います。公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して自己の遺言書であることを申述します。公証人が遺言者の申述及び日付を封紙に記載した後、遺言者、証人ともにこれに署名し、印を押します。
公証されているので偽造・変造の恐れがありませんが、遺言の内容自体は公証されていないので紛争の可能性が残る点で、あまりお勧めはできません。
○遺言書は何歳から作成できる?
遺言書は満15歳になれば誰でも書くことが出来ます。
○遺言書は一度書いたら撤回できない?
そんなことはありません。遺言は、遺言をした人が死亡するまではいつでも撤回することが可能です。また、詐欺・脅迫によって遺言をした場合、遺言者・相談人ともにこれを取り消すことができます。
○遺言書に書いても必ずしも有効とはならないこと
皆さん、「遺留分」という言葉をご存知でしょうか?「遺留分」とは、本来 の相続人(本人の配偶者、子供など。)を守るための法定制度です。つまり、財産の全額を法定相続人以外の人に遺す、という内容の遺言書も法律的 には有効なものとして取り扱われますが、それでは本来の相続人にとってあ まりにも不憫です。その為、そのような相続人を保護するために「遺留分」という制度があり、一定の額について相続することが権利として保証されているのです。ですので、もしこの遺留分を侵害するような遺言書を被相続人が書いた場合には、本来の相続人はその権利を主張し、遺留分減殺請求を行うことで被相続人の財産を一部取り戻すことが可能となります。
○さいごに
子供のいないご夫婦、事業を特定の者に継承させたい方、法定相続人以外の方に財産を与えたい等のご事情がある場合、遺言書は特に必要となります。また、相続人同士が不仲である場合についても、遺言書をしっかり書き留めておくことが後々の紛争回避につながります。
自分で遺言を書いてみようと思われている方、遺言を公正証書として残したい方、また、その他相続関係でお悩みの方も当事務所にご連絡ください。手続きを行う際の注意点だけではなく、ご事情に合わせて個別にアドバイスさせていただきます。お気軽にどうぞ。
|この記事のURL│
2010年8月10日19:49:00
はじめに
そもそも省エネ法とは?
改正省エネ法
①従来の工場・事業場単位から事業者単位へ移行します。
以前は、工場・事業場ごとにエネルギーを管理し、年間のエネルギー使用量を算出していましたが、今回の改正により、事業者単位でエネルギー管理をすることになりました。つまり、ある株式会社(仮にあおぞら株式会社とした場合)のA工場、B事業所、C事業所の年間エネルギー使用料がそれぞれ700kl、600kl、500klだった場合、従来の法律では国への届出は必要ありませんでしたが、今後は事業者単位で使用量を算出するため、会社全体として1500kl以上使用している事業者に該当し、あおぞら株式会社は規制の対象になります。→特定事業者と呼ばれ、国からその指定を受けなければいけません。
②フランチャイズチェーンも規制の対象になります。
コンビニエンスストア等のフランチャイズチェーンも今後、規制の対象になります。(約款等の取り決めで一定の要件を満たしており、かつ、加盟店を含む企業全体の年間エネルギー使用量が1,500kl以上の場合。)
→特定連鎖化事業者と呼ばれ、国からその指定を受けなければなりません。
③エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者の選任
上記の特定事業者、特定連鎖化事業者は、エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者の選任が義務づけられました。以前は、実務レベルの担当者にのみ、その管理を義務づけていましたが、今後は企業の役員レベルに対してもエネルギー管理を義務付け、法律遵守を徹底させるという意義を有しています。
改正省エネ法の手続きの流れ
①エネルギー使用量を把握する。
・事業者が工場等で使用するエネルギーはすべて把握しなければいけません。
工場や事業場だけでなく、本社、営業所、事務所、出張所、研究所、店舗、倉庫などの無人施設、福利厚生施設などすべてが含まれます。
・把握する期間は前年度の1年間分。
平成22年においては、平成21年4月から平成22年3月まで。
(注)事業者が把握すべきエネルギーの範囲は法人格の範囲であり、子会社などのグループ会社であっても法人格が違えば別事業者となります。また、営業車両等で構外で使用するエネルギー、工事現場、仮設事務所、ならびに社宅・社員寮などの住居部分は対象外です。
年間のエネルギー使用量が1,500kl以上となる事業者とは?
国から指定を受ける必要のある、年間1,500kl以上エネルギーを使用する事業者とは、どのような事業者を指すのでしょうか?
大体の目安は・・・ 小売店舗 約3万ヘーベー以上、オフィス・事務所 約600万kWh/ 年以上、ホテル 客室数300~400規模以上、病院 病床数500~600規模以上、コンビニエンストストア 30~40店舗以上(20店舗前後でも対象となる場合有り)、ファーストフード店 約25店舗以上、ファミリーレストラン 約15店舗以上、フィットネスクラブ 約8店舗以上
*あくまで目安です。
■エネルギー使用量 簡易計算ツールのダウンロード
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/enetai/1-6_shoene_yoshiki.kinyuyoryo.htmlこちらで、簡単に年間のエネルギー使用量が計算できます。
罰則規定
罰金刑くらいなら・・・と軽く考えてはなりません。行政指導の対象となる場合もありますので、くれぐれも気をつけましょう。
さいごに
今回の改正省エネ法の最大のポイントは、事業者単位でエネルギー量を把握することとし、規制対象とした点です。これはひとえに、実務レベルで環境保護に取り組むのではなく、企業全体で取り組むことで今まで以上にその成果をあげることを目的としています。同じチームでいつも横にいる上司に命令されるよりも、社長に命令された方が部下の動きが早い、というようなイメージでしょうか・・・。また、行政側としても、事業者全体として結果を見ていくほうが管理しやすいという側面もあるのではないかと思います。
法律の裏側にある本当の目的は何なのか。
なぜ、罰則まで設けて、企業の活動を管理しようとしているのか。
それをしっかりと理解し、行動していくことで、“やらされてる感”の無い、自発的な環境保護への取り組みが実現されていくのではないかと思います。
個人レベルでは、明日から電気、クーラーの切り忘れの無いよう 徹底しよう・・・。
|この記事のURL│