2010年11月22日16:10:00
今回のテーマは「遺言書」についてです。聞いたことはあるけれど、実際どのように書くものなの?という質問をよく受けます。ただ、自分で書いてタンスの奥にしまって置けばいいのか・・・はたまた、公証役場まで行って証明してもらわなければならないのか。普段考えたことがないのでピンと来ない!という方も、ちょっと気になってはいるが調べるのが面倒だという方も、気軽に読んで頂ければと思います。
○遺言書は3種類ある?
遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類の方式があり、それぞれ、方式や要件が異なります。(他に、臨終遺言と隔絶遺言がありますが、これは危急時なものなので上記3種類が一般的な遺言となります。)
どの遺言を選択し、作成するかは個人の自由に委ねられていますが、それぞれにメリット、デメリットがありますので、それを見極めてから作成する必要があります。これから詳しく見てまいりましょう。
○自筆証書遺言
3種類の中で最も簡単な遺言で、本人が自筆し、印鑑を押せばよいものです。ただし、以下の点に注意して作成しましょう。
Point1 遺言者が遺言書の全文を自書すること
→代筆やワープロで書いた遺言書は無効となります。また、日付部分だけゴム
印を使った場合も同様に無効となりますので注意しましょう。
Point2 遺言者が日付を自書すること
→通常は年月日で表されます。ですが、日付は遺言書成立の日が確定出来れば良いため、「私の53回目の誕生日」という記載でも認められます。○年○月吉日という記入は無効です。また、判例は年月だけを記載し、日のない遺言書を無効としています。
Point3 遺言者が氏名を自書すること
→氏名の自書は、遺言者の同一性と遺言が遺言者の意思によるものであることを明確にするために要求されています。その為、氏名は戸籍上の氏名でなくても、遺言者が日常用いているペンネームや芸名、通称名などを用いても構いません。
Point4 遺言者が押印すること
→三文判、指紋でも構いませんが、後で紛争の素を作らない為にもなるべく実印を押しましょう。
気軽に作成出来る点、遺言内容を誰にも知られずに済む点、費用がかからない点が自筆証書遺言の長所として挙げられますが、一方では、方式に不備があると無効になる恐れがある、紛失や隠匿の恐れがある等、万が一を考えると少し不安な要素もあります。
○公正証書遺言
公証役場でした本人の口述内容を公証人が公正証書にして作成したものを公正証書遺言といいます。公正証書を作成する際、証人2人以上の立会いが必要となります。また、遺言者が公証役場へ出向くのが一般的ですが、病気などで公証役場へ出向くことが出来ない場合は公証人に出張費を払って自宅や病室に来てもらうことが可能です。手数料は相続財産がどの程度であるか、また、財産を受ける人が何人いるか等の条件で変わってきます。(例:1億円の財産を一人が単独相続する場合、57,000円の手数料がかかります。)
公正証書遺言は公証人が作成するため、証拠力が高く、原本を公証人が保管する為、偽造・紛失の恐れが無い点で、自筆証書遺言に比べて心理的に安心感が得られます。しかし、公証人が作成するので手続きが煩雑である、費用や手数料がかかる等のデメリットがあります。
○秘密証書遺言
遺言内容を死ぬまで秘密にしたい時に使う方式です。遺言者自身が遺言書に署名し、印を押し、同じ印鑑で封印した後、公証役場で手続きを行います。公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して自己の遺言書であることを申述します。公証人が遺言者の申述及び日付を封紙に記載した後、遺言者、証人ともにこれに署名し、印を押します。
公証されているので偽造・変造の恐れがありませんが、遺言の内容自体は公証されていないので紛争の可能性が残る点で、あまりお勧めはできません。
○遺言書は何歳から作成できる?
遺言書は満15歳になれば誰でも書くことが出来ます。
○遺言書は一度書いたら撤回できない?
そんなことはありません。遺言は、遺言をした人が死亡するまではいつでも撤回することが可能です。また、詐欺・脅迫によって遺言をした場合、遺言者・相談人ともにこれを取り消すことができます。
○遺言書に書いても必ずしも有効とはならないこと
皆さん、「遺留分」という言葉をご存知でしょうか?「遺留分」とは、本来 の相続人(本人の配偶者、子供など。)を守るための法定制度です。つまり、財産の全額を法定相続人以外の人に遺す、という内容の遺言書も法律的 には有効なものとして取り扱われますが、それでは本来の相続人にとってあ まりにも不憫です。その為、そのような相続人を保護するために「遺留分」という制度があり、一定の額について相続することが権利として保証されているのです。ですので、もしこの遺留分を侵害するような遺言書を被相続人が書いた場合には、本来の相続人はその権利を主張し、遺留分減殺請求を行うことで被相続人の財産を一部取り戻すことが可能となります。
○さいごに
子供のいないご夫婦、事業を特定の者に継承させたい方、法定相続人以外の方に財産を与えたい等のご事情がある場合、遺言書は特に必要となります。また、相続人同士が不仲である場合についても、遺言書をしっかり書き留めておくことが後々の紛争回避につながります。
自分で遺言を書いてみようと思われている方、遺言を公正証書として残したい方、また、その他相続関係でお悩みの方も当事務所にご連絡ください。手続きを行う際の注意点だけではなく、ご事情に合わせて個別にアドバイスさせていただきます。お気軽にどうぞ。
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