2011年12月6日17:47:33
中間指針の位置づけ
本審査会は平成23年4月28日に原発事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第一次指針を決定・公表しました。その後、同年5月31日には第二次指針、同年6月20日には第二次指針追補を決定・公表しましたが、対象とされなかった損害項目やその範囲については、今後検討されることとされていました。 そこで、中間指針により、既に決定・公表した内容に追加項目を加え、賠償すべき損害と認められる損害類型が明示されたのです。 ただ、全ての案件が対象になった訳ではなく、今回の中間指針では決定が見送られたものもあります。本審査会は「中間指針で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る」との見解を示していますが、類型化されていない案件に対してどのような対応がなされるのか不透明な部分があり、万人が平等に賠償を受けられるようになるまでにはまだ時間がかかりそうです。
賠償すべきと認められる損害類型について
本審査会で決定・公表された損害類型は以下となります。それぞれ、対象となる損害の範囲及び基準が異なる為、損害賠償請求をする側としては、そもそも類型に当てはまるのか、どの類型に分類されるのかを確認しておく必要があります。(類型に当てはまらない場合には、類型外として損害賠償請求を行うという手続き方法もあります。)
①政府による避難等の指示等に係わる損害 →政府による避難指示以前に事業を開始されていた、または農業・漁業を営んでいた法人及び個人事業主が対象。その他、「避難等対象区域(*1)」の財物の所有者で本件事故によって当該財物の価値が喪失又は減少した方も対象となる。
②政府による航行危険区域等及び飛行禁止区域の設定に係る損害 →漁業、内航海運業、旅客船事業等を営んでおり、航行危険区域等及び飛行禁止区域の設定に伴い損害を被られた法人・個人事業主が対象。その他、航行危険区域等及び飛行禁止区域の設定に伴い減収等が生じた事業者様の被用者の方で当該事業者様の経営状態が悪化したことにより就労不能等となった方。
③政府等による農林水産物等の出荷制限指示等に係る損害 →「避難等対象区域」外の出荷制限指示対象地域の耕作地にて政府等による出荷制限指示の対象となる品目を生産する農業者である法人・個人事業主等が対象。
④その他の政府指示等に係る損害 →本件事故に関し行われた政府の指示により行為が制限され、損害を被られた法人・個人事業主の方が対象。
⑤いわゆる風評被害 →本件事故を起因とする風評被害を受けられた法人・個人事業主の方が対象となり、業種毎に要件が異なる。農業や観光業等に関しては福島県外の特定された地域も対象の範囲に含まれる。
⑥いわゆる間接被害 →本件事故と相当因果関係を有する間接被害を受けられた法人・個人事業主様。間接被害を受けられた事業者様の被用者の方で当該事業者様の経営状態が悪化したことにより就労不能等となった方。
⑦その他 →放射線被爆による損害、地方公共団体等の財産的損害等。 (*1)避難等対象区域 政府が原子力災害対策特別措置法(以下、「原災法」といいます。)に基づいて各地方公共団体の長に対して住民の安全を守るために避難指示した区域及び政府が住民単位で設定し、その住民に対して注意喚起、自主避難の支援・促進を行う地点。その他、南相馬市が独自の判断に基づき住民に対して一時避難を要請した区域も含まれます。
最後に
東日本大地震が起きた3月11日から9ヶ月の歳月が過ぎようとしています。その間、原子力損害賠償支援機構法が制定され、本審査会による中間指針を受けて原発事故による被害を受けられた方への金銭的な救済措置を行う段取りが進められてきました。制度を運用する側の人間が、被害に遭われた方の立場に立って真摯な気持ち、そして積極的な気持ちで取り組んでくれるようにと願うばかりです。実際に手続きの代行を行う行政書士の立場からも、現状をお伝えしていきたいと思っています。
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